フラワーアーティストの夏

夏の生け花は、気温や日当たりの管理がとても難しいです。最近は、お花屋さんでは、枯れにくい品種の花々が出回っていますが、私は、ほとんど生花店を利用せず、自宅の庭や川原の草花を生けているので、夏場は、花々ではなく、緑を生ける事が多いです。母が海外遠征の前に、生けた花々も、夏場は持ちが悪いので、悪くなったものから取り除き、緑だけを生けなおすことも度々です。緑の草木は、花々を盛り立てる名演出家ではありますが、一旦、主役を任せられると、名脇役から、ヒロイン、ヒーローをこなす事のできる幅広で万能な一面を魅せます。花瓶の中が緑一色だけであるのが、もの寂しい時は、仏壇にお供えしてある果物を、仏様から拝借して、一緒に添える事もあります。緑と果物の愛称は抜群で、時折、食べるのももったいないと感じてしまう事もあるくらいです。夏の川原は、雑草の活きが良いので、散歩がてら収穫してくると、花瓶の中でよい仕事をしてくれる事もあります。時折、未知らぬ珍客を連れてきてしまう事もあり、祖母が悲鳴をあげています。祖母はバッタやコオロギが大の苦手で、川原から収穫してきた雑草に、彼らが紛れて帰宅するなり部屋の中で飛びだしてくると、この世の終わりのような事を言い出します。ゴキブリは、スリッパや新聞紙で潰し拾い上げる事ができるというのに、私は祖母に対して不思議な気持ちにさせられます。

そんな平和で微笑ましい日常を送りながらも、生け花をやっていけるのですから、フラワーアーティストや華道家のような肩書きがなくとも、花を生ける毎日が在る人生も良いものではないかなと考えています。

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