生け花は生涯のパートナー

私の知人に中卒で生け花を楽しんでいる人がいます。今日はその知人Sの話を書き綴りたいと思います。

生け花を職業として、生活を養っていく気持ちは全くありませんが、「生け花」は、知人Sの生涯のパートナーということでした。Sが中卒であることを公表すると、多くの人々から「なぜ、高校に進学しなかったのか?」と質問される事があります。そのような質問をする人たちに、Sもこう問いてみたいと思ったそうです。

「なぜ、皆さんは、高校へ進学したのですか?」と。

知人Sが中学校の担任の先生と進路相談をした際に、すでに高校へは進学せずに、町内会の町工場で働きたい思いがあったので、その旨は伝えてありました。S自身の成績は、常に学年では5番以内の順位を保っていたので、担任の先生は、当初、鳩が豆鉄砲をくらった時のような顔をしていましたが、Sが何か心の闇を抱えてそのような決断をした訳ではない事に、理解を示すようになってからは、Sの決めた進路に対して賛成も反対もしませんでした。S自身は、自分の生活費を、自分自身で稼いでみたいという希望がありました。勉強する事は、嫌いでも苦手でもありません。働きながら、社会性を身に付け、そういった生活の中でも勉強をする事は可能です。人生に必要なもの全てが、高校生活に在る訳ではないはずだと、Sは中学生ながらに実感していました。まずは、自分の生活費を稼ぐ技術を身に付け、そこから、自分なりに豊かな人生を送りたいと考えた結果、高校進学は自分には必要がないと結論が付きました。自宅近くの工場で汗を掻きながら、一日働き、満員電車に無理して乗るような事もせずに、徒歩15分で帰宅し、庭の草花に水をやり、日の良い夕暮れには、川原に散歩に行き、夕食の買出しなどを済ませ、家族の夕飯の支度などをします。夕食の片付けが早めに済んだ時などは、庭の草花を縁側で生けたりもします。そのようなSの暮らしぶりを気にかけて、「フラワーアーティストや華道家になってみたらどうかしら?」と声を掛けてくれる町内会のオバちゃんなどもいますが、フラワーアーティストや華道家でなくとも、生け花はできます。

免許がなくても、肩書がなくても生け花はできるのですから、あまり肩ひじ張らずにまずは生け花を楽しめたらいいと思います。

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